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新型コロナウイルスとACE2(アンジオテンシン変換酵素2)

新型コロナウイルスとACE2について考える。

 

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新型コロナウイルス予備知識(ウイルス/コロナウイルス/免疫について) - 1985 (hateblo.jp)

 

 まず、新型コロナウイルスにおいて

病名は「COVID−19

:CO=コロナ・VI=ウイルス・D=病・19=2019年

ウイルス名は「SARS-CoV-2

SARS重症急性呼吸器症候群)を引き起こすコロナウイルスSARS-CoV)の姉妹種

の意味である。

 

 

 

SARS-CoV-2とACE2の関係

 

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 https://indeep.jp/coronavirus-most-high-risk-populatuins-is-japanese/  から引用

 

ACE2とは細胞の受容体である

ACE2はSARS-CoV-2のスパイクタンパク質と結合しSARS-CoV-2をヒトの細胞に吸着・侵入させる。

ACE2を通してヒトの細胞に侵入したSARS-CoV-2により、感染が始まる。

 

 

 

・ACE2の体内分布と重症化の関係

 

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COVID-19|ギリアド・サイエンシズ (gilead-covid-19.jp)から引用

 

ACE2は体内のあらゆる箇所に存在している。

 

特に分布の多い箇所は肺・心臓・血管で、分布の多い臓器ほど臓器損傷が大きいとされている。

 

COVID-19重症例の多くは重篤肺炎であり、これは肺の肺胞上皮細胞に多く存在しているACE2と関連している。

 

また、海外ではACE2の高分布からくるCOVID-19 の心筋障害の重傷化について多数報告されており、日本でも重症COVID-19治療中に心筋障害を来した症例が発表されている。

重症COVID-19治療中に急激な多臓器不全から心筋障害を来し不良な転帰に至った一例 (kansensho.or.jp

しかし症例にもあるように、頻脈や発熱による酸素需要量の増加・低血圧や低酸素血症による酸素供給量の低下によって、間接的に心筋障害が引き起こされる可能性もある。また、薬剤の影響で心筋障害を起こした可能性もある。

 

さらにACE2は血管内皮に多く分布しており、感染すると炎症により血管の内皮細胞が傷つき、血栓ができやすくなる。また冠動脈の小さな血管に感染すると、川崎病に似た血管炎が起き動脈瘤心筋梗塞に繋がる恐れがある。

 

その他にも口腔粘膜、鼻粘膜、気管支、気道、食道、胃、小腸、腎臓、肝臓、膀胱などに多く存在し、口腔粘膜への感染によりCOVID-19の特徴である味覚障害をひきおこす。

 

またやや低い分布でにも発見されており、海馬に影響を及ぼす可能性があるとされている。

 

 

 

 

・ACE2の普段の役割

 

普段、ACE2は血圧調整に関わるレニンアンジオテンシン系に関わっている。

 

レニンアンジオテンシン系とは

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レニンアンジオテンシン系とは、血圧の調節や電解質バランスを維持する働きをしているホルモン系の総称である。

 

どのように働いているかを順番に説明すると

①腎臓の血流が足りなくなると腎臓はレニンというタンパク質分解酵素を血管に分泌する

レニンは血管内で肝臓や肥大化脂肪細胞から分泌されるアンジオテンシノーゲンを一部分解し、アンジオテンシンⅠに変換する

アンジオテンシンⅠは、肺の毛細血管内皮細胞に存在するアンジオテンシン変換酵素(ACE)によってアンジオテンシンⅡに変換される。

アンジオテンシンⅡは、下記の部位のアンジオテンシン 受容体主にAT1受容体)を刺激して血圧を上げる。

・副腎皮質球状層 アルドステロン分泌 遠位尿細管のNa+再吸収↑ Na+, H2O貯留

・副腎髄質 アドレナリン放出

・血管 血管収縮

 となる。

 

以上のレニンアンジオテンシン系に関わっているアンジオテンシン変換酵素(ACE)がACE2の同族体であり、ACEはレニンアンジオテンシン系を促進し、ACE2はレニンアンジオテンシン系を抑制する働きをしている。

 

具体的にはACE2はアンジオテンシンⅡを分解しAng1-7を作りだし、血管拡張、炎症抑制、酸化ストレス軽減作用など、組織を保護している。

 

 

 

 

・ACE2減少による影響

 

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701)糖尿病治療薬メトホルミンはレニン・アンジオテンシン系をターゲットにしてCOVID-19の重症化を予防する - 「漢方がん治療」を考える (goo.ne.jp)より引用

 

 ウイルス感染によって細胞のACE2は減少し、アンジオテンシンIIの分解が減少する。かたやアンジオテンシン変換酵素(ACE)によってアンジオテンシン-II(AngII)が産生される。その結果、AngIIの濃度が上昇し、アンジオテンシンII受容体タイプ1(AT1R)を活性化する。AT1Rは血管を収縮して血圧を上昇し、炎症を増悪させ、酸化ストレスを亢進する。

それによりSARS-CoV-2による肺損傷を増悪し、動脈硬化を促進し、糖尿病合併症を憎悪させ、血圧上昇により腎臓病も増悪させる。

 

また、ACE2がアンジオテンシンⅡを分解して作り出すAng1-7は組織(肺など)を損傷から保護する働きがあるが、SARS-CoV-2に感染することによりAng1-7も減少、これも肺損傷を憎悪し肺炎の重傷化をもたらす

 

 

・まとめ

 

SARS-CoV-2はヒトのACE2受容体と結合し感染する。ACE2が多い箇所では症状が重篤化しやすい。

SARS-CoV-2感染によりACE2が減少すると体内のレニンアンジオテンシン系が崩れ、COVID-19の症状や基礎疾患を増悪させる。

 

 

 

 ACE2について参考になった記事やサイト

国立感染症研究所 (niid.go.jp)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)症例報告 | 東京保険医協会 (hokeni.org)

701)糖尿病治療薬メトホルミンはレニン・アンジオテンシン系をターゲットにしてCOVID-19の重症化を予防する - 「漢方がん治療」を考える (goo.ne.jp)

新型コロナウイルスに関連したACE2は一体どんなものでしょうか? | サイヤジェン株式会社(Cyagen)

 新型コロナウイルス関連サイト | 遺伝専門医・ミネルバクリニック (minerva-clinic.or.jp)

 

 

よくわかりましたがACE2を増やす喫煙がやめられません